A Place In The Sun ~マイナージャズレコードの世界~

1950-60年代を中心に、名盤の陰に埋もれてしまった不遇のレコードを「陽のあたる場所」へ。

Bill Cooper

Bill Cooper
Bill CooperBill Cooper

Bill Cooper Trio
No Label/PR4M/USA?/60's?


Bill Cooper(p) Fred Luna(b) Dick Dorothy(dr)

Side1                   
West Side Story             
I Can't Get Started           
Alley Cat                  
                       
Side2 
Here Am I                   
Mr.Lucky
Invitaion
Midnight Sun
Love For Sale


いよいよ今年最後の更新。
今年最初の更新はCal Bezemerのマイナーピアノトリオだった。だから最後もマイナーピアノトリオで締めよう。
胸を張って(?)掲載できる「ド」マイナー盤。
何しろ裏ジャケットが真っ白。つまりライナーも何も無く、全くの詳細不明。
レーベルにメンバーと曲が記載されているのみ。
レーベル名も無いため自主製作盤だろう。
年代と国名の判断材料は、ラベルに溝があるため60年代以前の制作のものと推察し、プレス国はメンバーの名前から推察した。もちろん本当の所は不明。
Side1はラウンジ寄りのライブ演奏、Side2はスウィング、ラテンを基調にしたスタジオ録音。
Side2の歯切れの良い演奏も悪くは無いが、今の気分はSide1に軍配があがる。
全体を覆うゆったりとした優雅な調べに身を委ねながら、今年一年を振り返るのも乙だ。



「断捨離」という言葉を耳にする。
それは「人生や日常生活に不要なモノを断つ、また捨てることで、モノへの執着から解放され、身軽で快適な人生を手に入れようという考え」だそうである。
ならば、私の行いはその真逆にあると言える。
もちろん全ての行為がそうではない。衣類ならば躊躇が無い。一年着なかった服は、来年以降も着る事は無いだろうと簡単に「捨てられる」(礼服は除く)。
ただ、殊更レコードに関しては出来ないでいる。正確には「出来ない」のではなく「やらない」のだ。
ここでこれまで取り上げたレコードを眺めても、その全てを手放しで称賛してはいない。むしろ、低評価のものが相当数ある。客観的に見ればそれは「不要」なはずである。
が、だからと言って簡単に「断つ」わけにはいかないのである。入手に苦労したから、珍しいから、ジャケットが良いから、音は良いから、気に入った曲があるから…と数々の言い訳を列記する事は可能だが、根本にあるものはそれではない。
どうやらレコードという「モノ」、それ自体が好きなようである。
随分前に上梓されたものだが、手元に「ビニール・ジャンキーズ」(河出書房新社)という本がある。その中に登場する愛すべき蒐集家の言葉を引用するならば「レコードを持っていること自体から得るものがある」という事だ。
今時パッケージされたものに拘泥し、場所も取るモノを蒐集する行為は時代に逆行しているのかもしれない。
今は手軽で安価で、場所もいらない配信音楽が主力となっているようだが、そこに魅力を感じない。
パッケージも無ければ何もない。ただ曲を切り取って聴けさえすれば良いという行為に賛同できないでいる。

私の手元にあるレコードは人生や日常生活に「必要」なものであり、そこへの執着が「無ければ」、快適な人生を手に入れる事が「出来ない」のだ。
さらに言ってしまえば私はモノに囲まれた生活が好きなのだ。モノに囲まれた人に興味があるのだ。
別にそれはレコードに限らない。本だろうがぬいぐるみだろうが、雑貨だろうが、なんだって構わない。
そこにあるモノからその人の個性や自己主張や拘りを知り、人柄をも何となく知る事が出来る気がするからだ。
シンプルな部屋よりも雑多な部屋に魅力を感じる。

世間的には私も「コレクター」の一員と看做されるのだろうが、自分自身ではそういう意識はない。
特定のレーベルや特定のミュージシャンをコンプリートしているわけでも、それを目指そうという気もない。
一通りの名盤の類が揃って、次に向かった先がマイナー盤と言う過程を踏んだわけではなく、初めからその方向へ向かって言ったという偏屈な性癖のため、私のレコード棚は実際穴だらけだ。だからとてもコレクターとは言えない。
では何なのだ?
今後も名盤の類は人に聴き継がれ、丁重な扱いを受け続けるだろう。だから、自分の手元に無くても、どこかの誰かの手元にある。だから安心だ。数は早々に減らない。
一方でマイナー盤はどうだろう。名盤とは逆の扱いを受け、減る一方。或いは絶滅に至る可能性がある。
だから保護する人が必要なのだ。
そう、もう一度「ビニール・ジャンキーズ」からの言を拝借するなら、私の行為は端的にはこうなる「おれは、コレクターじゃない。記録の保管人だ」

レコードに関しては「断捨離」よりも「MOTTAINAI」がしっくりとくる。


Vinyl Junkies


今年一年閲覧して頂いた方、コメントを寄せて下さった方々に改めて感謝申し上げます。
来年も相変わらず不遇のジャズメン、レコードに光を当てていきます。
それでは皆さん良いお年をお迎えください。

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2011/12/31(土) 07:35:36 piano A-G トラックバック:0 コメント:0

Rolf Billberg

Rolf Billberg
Rolf BillbergRolf Billberg

We'll Be Together Again
EMI ODEON/E054-34830/Sweden/1965-66


Rolf Billberg(as) Jan Allan(tp) Allan Botschinsky(flh)
Rene Gustafsson,Ole Molin(g) Nils-Henning Orsted Pedersen,
Roman Dylag(b)Rune Carlsson(dr)


Side1                      
Ablution                     
We'll Be Together Again            
Fobic                       
Nursery Rhyme

Side2
Sound-Lee
Darn That Dream
Palo Alto

もう一枚Billbergのアルバム。
前回取り上げたアルバムから10年近い開きがあるが、別に音楽活動を中止していたわけではなく、サイドメントしてだが吹き込みがいくつか残されている。
ただ、LPに於けるリーダーアルバムとなると恐らく2枚のみになるだろう。
今回はアルトサックスのみに徹している。
Side1はJan Allanとフロントを張ったピアノレスクインテットによる、65年のスウェーデン録音。
Side2はAllan Botschinskyとフロントを張った、やはりピアノレスによるクインテット、66年の4月デンマーク録音。彼が亡くなったのが8月だから、死の直前に残された貴重な記録と言える。
この面子を見れば悪いわけがない。
フロントのAllanとBotschinskyはもちろん、サイドメンではギターのGustafsson、ベースのPedersenは力強く、決して埋没しない流石の貫録。Carlssonの緩急自在のドラミングも素晴らしい。
スウェーデンのLee Knonitzの異名故か、ここでは「Sound-Lee」と「Palo Alto」とKonitzの曲を自ら取り上げ捧げている。
迸る情念を内に燃やす様はKonitzと共通する点だが、ワンホーンのバラードで魅せる「Darn That Dream」のクールでウォーム、哀愁と陽気さという二つの対立した概念を併せ持つ表現はBillberg独自のもの。
どこを切り取っても遜色のない名盤。早すぎた死が惜しまれる。
明日は今年最後の更新。

2011/12/30(金) 16:08:22 altosax トラックバック:0 コメント:2

Rolf Billberg

Rolf Billberg
Rolf BillbergRolf Billberg

Rare Danish Recordings
Storyville/SLP-419/Denmark/1956-57


Rolf Billber(as,ts) Jorgen Ryg(tp) Max Bruel(ss)
Kurt Jarnberg(v-tb) Poul Godske,Atli Bjorn,Lars Bagge(p)
Mogens Landsvig,Erik Molbach,Urban Moberg(b)
William Schiopffe(dr) Jorn Grauengaard(g)


Side1                         
I Can't Believe That You're In Love With Me  
Moonlight In Vermont                
I'm Building Up For A Nervous Breakdown    
El Domingo                       
The Lady Is A Tramp                 
                              
Side2
Bag's Groove
Ole Man River                              
Yesterdays
Curly Curt
Opus De Funk
I'm Beginning To See The Light

1930年スウェーデン生まれ。36歳と言う若さでその生涯を閉じた夭折のアルト奏者Rolf Billberg
これは1956年から57年に吹き込まれたSonetレーベルのEPからの音源+未発表曲3曲を収録した、81年発売のアルバム。
曲によってメンバーが替わり、カルテット、クインテット、セクステットと様々。
元々は軍楽隊でクラリネットを演奏していたが、チャーリー・パーカーの音楽に触れジャズの世界に進んだらしい。
Billbergというとアルトのイメージが強いが、初期のLars Gullinのバンドで活動していた時期はテナーマンとして活躍、その後アルトへと転向した。ここでも半分以上テナーによる演奏を聴く事ができる。
盤落としの為か音に力強さが無いが、「Ole Man River」あたりから布団を剥ぎ取ったかのように急にクリアーになり、演奏も躍動感が増したように聴こえる。
この頃の若々しいテナーも捨てがたいが、やはりクールでスタイリッシュなアルトを推したい。「Bag's Groove」や「Moonlight In Vermont」に彼らしさが光る。





2011/12/29(木) 22:50:33 altosax トラックバック:0 コメント:5

Jan Eriksson

Jan Eriksson
Jan ErikssonJan Eriksson

Tollarparn
RCA/INTS1287/Sweden/1971


Jan Eriksson(p) Arne Castell(b) Ingvar Callmer(dr)

Side1                    
A Wonderful Day Like Today        
Michelle                    
Lazy River                   
I Don't Know How To Love Him      
Invention                   
Det Var En Lordagsafton          

Side2
I Could Write A Book
Jag Vet En Dejlig Rosa
I'll Wait For You
En Trist Liten Visa Fran Hoganas
Love Is Here To Stay
Yellow Tango

失礼を承知の上だが、このアルバムはジャケットで損をしている。
針を落とした瞬間に目の前が明るくなった様な開放感が得られる。
躍動するピアノ、美しい旋律の数々。ベースも弾ける。選曲も秀逸。録音も良い。
ピアノ・トリオの醍醐味を存分に味わえる良盤。
だから敢えてもう一度言う。このアルバムはジャケットで損をしている。

2011/12/28(水) 21:58:52 piano A-G トラックバック:0 コメント:0

Esa Pethman

Esa Pethman
Esa PethmanEsa Pethman

The Modern Sounds Of Finland
RCA/LSP10040/Finland/1964-65


Esa Petheman(ts,fl) Pekka Poyry(as) Heikki Rosendahl(tp)
Heikki Sarmanto(p) Anssi Pethman(dr)


Side1                 
Blues For Duke             
Shepherd Song             
Etude No.1               
Mr.Peter                
Blues Fantasie             
                      
Side2
The Flame
Finnsih Schnapps
Lullaby
Disllusion
Al Secco
Nina's Dream

サックス、フルート奏者Esa Pethmanの当時のフィンランドジャズを代表するアルバム。
フィンランドジャズと言えば、同じRCAのChristian Schwindtの「For Friends And Relatives」と双璧をなす作品にあたるだろう。そちらも取り上げてみたいが、影も形も無くとても入手出来そうな気配はない。
1938年生まれ。10代の時チャーリー・パーカーの影響を受けサックスを始め、50年代後半にはシベリウス音楽院にてフルートを習得。
その後はチェコやポーランドを中心に活動。そして、その集大成としてリリースされたのが初リーダーアルバムになる本作。
「北欧らしさ」というと抽象的な表現になってしまうが、自身のサックス、フルートやストリングスを駆使した圧倒的なオーケストレーション。凛々しさや透明感、底に流れる仄暗さはアメリカのジャズとは一線を画す。
多彩な表現力が魅惑となる聴き所の多いアルバム。
因みに掲載の盤はドイツプレスでフィンランドオリジナルではない。特に思い入れのあるアルバムというわけではなく、資料的価値として所持している要素が大きいため、今更フィンランド盤に買い替えるつもりもない。もちろんこのドイツ盤も希少ではある。


追記
詳しい方の指摘によると、このドイツプレスでオリジナルの可能性が高いとの事。
このレコードのフィンランドプレスを見た事がないという。当時はドイツにプレスを依頼している事が多く、これもそうらしい。








2011/12/26(月) 21:27:22 tenorsax トラックバック:0 コメント:0
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