A Place In The Sun ~マイナージャズレコードの世界~

1950-60年代を中心に、名盤の陰に埋もれてしまった不遇のレコードを「陽のあたる場所」へ。

Dirrick Beard

Dirrick Beard
Dirrick BeardDirrick Beard


Jazz At The Waggon
MARLISON/J.W.1005/UK/1969


Dirrick Beard,Ken Fish(p) Maurice Turner(ts) Mike Mapp(b)
Ken Turner,Ken Wright(dr) John Sawyer(vib)


Side1
Perdido
The Nearness Of You
Landlord Blues

Side2
Lady Be Good
Deed I Do

「マイナージャズ」と謳いながら最近はどこかで見聞きしたした事のあるアルバムばかりとの指摘を受けそうなので、たまには「正当な」マイナー盤を取り上げてみようと思う。
1957年からイギリスのキッダーミンスターにある(あった)ジャズクラブでのライブ録音。
こういったアルバムはライナーから情報を得るしか方法がないのだが、それも乏しい。
その少ない情報から分かった事は参加メンバーの殆どは製図者や会計士、光学機械の検査士や電子技術者といった本業を持つアマチュアミュージシャン達のようだ。
だから過剰な期待は禁物だが、ライブ録音のお蔭で意外と楽しめた。
これがスタジオ録音だと些か物足りなさが残るが、客の歓声、騒めき、合の手や拍手、クラブの和やかで穏やかな空気が感じられ、その場に居合わせているかのような寛いだ雰囲気が味わえる。
GWとは無関係の人には悪いが、この期間中の浮足立つような気持と穏やかな気候も手伝って大らかな気持ちで迎えられた1枚。

2017/04/30(日) 16:09:37 piano A-G トラックバック:0 コメント:0

Bill Hardman

Bill Hardman
Bill HardmanBill Hardman

Saying Something
SAVOY/MG-12170/USA/1961


Bill Hardman(tp) Sonny Red(as) Ronnie Mathews(p)
Doug Watkins,Bob Cunningham(b) Jimmy Cobb(dr
)

Side1
Capers
Angel Eyes
Jo B

Side2
Buckeye Blues
Assunta
It Ain't Happened Yet

愛すべきB級トランぺッターがBill Hardmanだ。
Bill Hardmanと言えばHank Mobleyの1568。
あれは誰が何と言おうともCurtis PorterとBill Hardmanを聴くためのものだ。
1曲目「Mighty Moe and Joe」のうねるような熱を帯びたPorterのアルト。
この燃えるような熱い演奏を聴いたあとに続く「Falling In Love With Love」
1曲目の余韻を一気に打ち消し、椅子からズリ落ち、腰が砕ける、コントのような振る舞いを誘う飄々としたHardmanのプレイ。この流れがとてつもなく好きだ。
1曲目と2曲目が切っても切り離せない関係。
それは私の中のJohn Coltrane『Coltrane』に於ける「Bakai」から「Violets for Your Furs」 の流れに似ている。
昔は「Bakai」は好きではなかった。あのSahib Shihabの悪魔じみたイントロが苦手で飛ばして聴いているという事を知人に話したら「連続して聴かなくては駄目だよ。Bakaiがあるから2曲目が余計に引き立つんだ。」と諭されたことがあった。
妙に納得してしまった意見に心を入れ替えてからというもの、今では逆に「Bakai」のイントロが病みつきにさえなっている。

さて、そのBill Hardmanは1933年オハイオ州クリーブランド生まれ。50年代初頭から活動を始めTadd DameronやCharles Mingusのグループを皮切りに多くのジャズメンとの共演をし、またサイドメンとしての録音も少なくない。
ただ、そのスタイルは流麗さとは対極の朴訥で地味な印象を受ける。
またJazz Messengersの一員として活動していた頃は暗黒期とも呼ばれ、不遇の扱いを受けている。
その為か50、60年代を通じリーダー作はこれ1枚のみ。
特徴的なジャケットデザインだが、万人受けするものとは思えないところもHardmanにとって不幸だっただろう。
しかし、それでもここでは持てる力を存分に発揮したHard Bop魂ともいうべき熱い演奏を聴かせてくれる。
B級ジャズメン達がA級の演奏を生み出したとまでは言えないが、武骨な表現もそれはそれで魅力的だ。

2017/04/24(月) 13:42:52 trumpet トラックバック:0 コメント:0

Nuntio Rotondo

Nuntio Rotondo
Nuntio RotondoNuntio Rotondo

The Artistry Of Nuntio Rotondo
MUSIC/LPM2076/Italy/1959


Nunzio Rotondo(tp) Gino Marinacci(fl, brs) Enzo Scoppa(ts)
Leo Cancellieri,Raymond Fol(p) Berto Pisano,Bibi Rovere(b) Gil Cuppini(dr)


Side1
Whispering
Bag's Groove
Scrapple From The Apple

Side2
De Concilio
Noi E Loro
Garineipaulus
Epiphone

繰り言になるがRotondoは長いキャリアを積んでいるのにも拘らず、リーダー作は乏しい。
先述の『ITALIAN JAZZ OF THE ROARING 50s』や未発表集の『Sound of silence』などあるにはあるが、「正式な」リーダー作となると本盤が唯一となるのではないだろうか。
入手するまでは本当に憧れたアルバムだった。現物を見掛けないつちのこのような存在だった。
手にした頃はヨーロッパ盤最盛期で当然大枚を叩いた。
しかし、残念なことに入手の労苦の補正も手伝って私的大名盤に昇華するはずだったのにしっくりこない。
はっきりとした印象を伴わないまま最終曲まで辿り着いてしまった。
悪くはないがひと押しに欠けるといったところか。
入手に弄した時間やお金を費やせば費やしたほど、心理的には良いものと思い込みたいプラシーボ効果のようなものが、自分の場合殆ど存在しない。
何十万しようが合わないものは合わないし、千円でも名盤と思えるものは多くある。
以前大仰な煽り文句を伴って復刻された割に、一般リスナーのレビューは殆ど見掛けないのも期待値が大きすぎたためだろうか。
憧れは憧れのままである事が幸せな時がある。

2017/04/13(木) 22:20:43 trumpet トラックバック:0 コメント:2
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